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最高裁判所第一小法廷 昭和32年(オ)972号 判決

上告人 松浦寅夫

被上告人 国

訴訟代理人 浜本一夫 外二名

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人山内忠吉の上告理由第一点について。

しかし所論乙三号証の内容と、原審認定の事情と照合して考えれば、右乙三号証は、米駐留軍係官が日本政府に代つて下船命令(雇入契約解除申入)を通告した文書であると解されるばかりでなく、右文書が上告人に交付されたことは原審認定のとおり(原審挙示の証拠に照し原審の右認定は首肯し得なくはない)であるから、本件においては、船員法四二条にいう書面による解除の申入があつたと解するに十文である。

右文書には、二四時間以上の予告期間の記載のないことは所論のおりであるが、たといその記載を欠いても、これがために解除申入が無効となると解すべきではなく、書面交付の時から二四時間を経過することによつて解除の効力を生ずると解すべきであるから、原判決には所論違法があるとは認められない。

同第二点について。

しかし所論船員法四六条乃至四九条の趣旨は、雇入解除の申入をなした際は、遅滞なく雇止手当、送還手当を支払うべきことを規定したにとどまり、これら手当の支払を解除申入の効力発生の要件としたものでないことは、原判旨のとおりでる。

所論はこれに反する独自の見解を以つて原判決を非難するものであるから採るを得ない。

同第三点について。

しかし原審認定のような事情が存する以上、本件雇入契約解除及び雇用契約解除の各申入は権利の濫用であるとすべきではないこと原審の判断のとおりであつて、所論違法があるとは認められない。

同第四点について。

所論はひつきよう原審が適法にした証拠の取捨判断及び事実認定を争うに帰するから採るを得ない(原審挙示の証拠によれば、所論の点に関する原審の事実認定は首肯し得られなくはない)。

同第五点について。

しかし原判決は、所論勤務時間外の労務提供拒否を不相当とし、これを理由として権利濫用の主張を排斥したものでないこと、判文上明らかであるから、所論違憲の主張は前提を欠くものであり、採るを得ない。

同第六点について。

しかし原判決は、所論各契約解除は、いずれも正当の事由に基くものであることを判示し、所論不当労働行為の主張を認容しなかつたものであること、判文上おのずから明らかであるから、所論違法があるとは認められない。それゆえ論旨は採るを得ない。

よつて、民訴三九六条、三八四条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判官 高木常七 斎藤悠輔 入江俊郎 下飯坂潤夫)

上告代理人山内忠吉の上告理由

第一点原判決には船員法第四十二条の解釈を誤つた違法がある。

同条は「期間の定めのない雇入契約は、船舶所有者又は船員が二十四時間以上の期間を定めて書面で解除の申入れをしたときは、その期間が満了した時に終了する」と規定している。

右規定は、船員法が船員保護の為であること、民法雇傭に関する定めに於ては二週間の告知期間を定めていることに比し甚しく海員の地位を不利にしていること等より考えれば厳格に解すべきものであつて、その申入れが書面によらないものである時、書面であつても申入の相手方に対し宛てた書面ではなかつた時、二十四時間以上の期間を明記してないものである時等に於てはその申入れは効力を有しないと解すべきである。

ところで原判決が確定したところによると、被上告人は乙第三号証の書面を上告人に交付したというのである。そこで乙第三号証の書面を見るとその文書の件名は「日本人船員ノ配当」とあり、文書の宛先は「予備員プール(出勤事務所)」と記載され、文書作成日は一九五四年九月二十日、発効日は同年同月同日となつている。これによつて見れば、右文書は予備員プールの事務所に宛てられた書面であつて、上告人に宛てられた書面でないことは明白である。更に右文書は二四時間以上の期間を定めた書面でないことは書面の記載方体によつて明かである。従つて右文書を上告人が交付を受けたとしても、これを以て船員法第四二条の効力を有する書面を受取つたと解することはできない。

しかるに原判決は右文書の交付を以て船員法第四二条の効力を有するものと解し、右書面が交付されてから二十四時間を経過した翌二十一日中に解除の申入はその効力を生じ本件雇入契約は終了したと判断した。しかし右解釈は船員法第四十二条を誤解した違法があり、右違法は、判決に影響を及ぼすものであることは明かであるから原判決は破棄を免れない。

第二点原判決は船員法第四十六条乃至第四十九条の解釈を誤つた違法がある。即ち船員法第四十六条は船舶所有者が同法第四十二条によつて雇入契約を解除した時その他同条所定の場合に於ては船員に遅滞なく一箇月分の給料の額と同額の雇止手当を支払うべきこと、第四十七条は右の場合船員を雇入港又は船員の希望する地まで送還するか、或は送還に代わる費用を支払うべきこと、第四十八条はその送還の費用の明細を、第四十九条は送還手当の支払、を各命じている。船舶所有者が右各条に定められた行為をなすことは雇入契約解除申入の効力発生の要件と解しなくては船員の保護を全うすることはできない。

この理は労働基準法第二十条の場合三十日分以上の平均賃金の提供もなく、三十日前の予告もない解雇は無効と解されているのと同様である。蓋し此の点に於て労働基準法と異別に解すべき根拠はないからである。しかるに原判決は、これらの要件は、雇入契約の解除申入の効力発生の要件とは解し難いとして、是らの提供の無い本件の解除申入を有効と解した。しかし右解釈は船員法の前記各条の解釈を誤つた違法があるというべく、それが判決に影響を及ぼすことは明かであるから、原判決は破棄を免れない。第三点 原判決には雇入契約の解除並に雇傭契約解約申入についての権利濫用の解釈を誤つた違法がある。

凡そ継続的権利関係である雇入契約並に雇傭契約に於ては、船員が下船を命じられ更に解雇されるか如きは船員の生活に重大な影響を及ぼすものであるから、船舶所有者はこれら契約の解除又は解約の権利を行使するには民法第一条に従い信義誠実の原則に従つてこれを行使するを要し、その行使が右原則に反する場合は権利の濫用としてその申入れは効力を有しなと解すべきである。

本件に於てこれを見るに、昭和二十九年十月五日付解雇申入は乙第四号証によるとその解雇理由として船員法第四十条第二号違反に掲げられておるが、右にいう船員に著しく職務を怠つたことに該当する事実がなかつたことは被上告人自身これを認めており、更に船員法第四十条第六号にいう、やむを得ない事由が存したという被上告人の主張も亦いれられるものでないことは原判決自身認めるところである。

右昭和二十九年十月五日の解雇に対し被上告人はその後昭和二十九年十二月十四日には乙第五号証の解雇通知書を、更に約一年を経た昭和三十年九月十五日には乙第六号証の解雇通知書を夫々送つていること自身昭和二十九年九月二十日の雇入契約の解除、同年十月五日の雇傭契約の解約申入の何れもが、その理由に乏しいものであつたことを示すに充分である。

上告人が昭和二十六年二月十三日被上告人に雇傭されて以来朝鮮動乱中には危険水域にも出動したこともあり、又これまでなんら事故なく職務を遂行したものであることは原判決も認める処である。更に船員の人員整理については「船員に対する暫定人員整理、人員整理手続」があつて、連続二年以上勤務する船員はできる限り身分を保障する建前となつていることは原判決も認めるところである。(但し原判決は上告人の主張に反しこれを予算の削減、撤退、移駐等による大量の人員整理をなす場合に限り適用があると認定している)

此のような上告人に対し、船員として著しい非行があつたとして雇止手当も退職金も与えず船員法第四十条第二号を適用して雇止及解雇を為したが、それは事実に即しない単なる口実であつて、真実は船舶所有者又はその利益代表者の船員に対する私憤より出でたに過ぎない場合、此のような雇止及解雇がたとい他の法条による雇止及解雇に形式上は該当するとしても、その権利の行使は信義誠実の原則にかなつたものであるとは到底解することはできず、権利の濫用として無効であると解すべきは当然である。しかるに原判決がことこゝに出でず権利濫用の主張を排斥したのは右法律の解釈を誤つた違法があるもので破棄を免れない。

第四点原判決には証拠によらず事実を認定したか又は理由不備の違法がある。

原判決は「上告人がデッキーの日本人船員に対する態度が傲慢であるとして同人に反感を抱き且常にその感情を態度に表わしていたと」認定しているが原判決が掲げている何れの証拠によつても、右認定を裏づける証拠は存在しない。

更に原判決は「佐藤広治船長が従前の上告人の態度等をも考え上告人に落度があり船内規律維持のため解雇もやむを得ないと判断して上告人に解雇事由があるとの上申をなした」と認定しているが、上告人にどのような落度があつたのか不明であるし、又佐藤船長が此のように判断したとする証拠は原判決の掲げる何れの証拠にも存在しないのである。却つて佐藤船長自身のかいた証明書(甲第二号証)、佐藤船長の供述調書(甲第六号証ノニ)によれば佐藤船長は此のような判断をしたことが無かつたことが明かである。

原判決の前記認定は結局証拠によらずして事実を認定した違法が、でなければ理由の説明を欠く理由不備の違法があり破棄を免れない。

第五点原判決には憲法第十四条、第十三条、第十八条の違反がある。

原判決はデッキーに対する上告人の態度には相当と認め難いものがあつたと認定した。しかしその根拠となる事実は勤務時間中に酒によつて船室に休んでいたデッキーから、交替で勤務外となつた上告人が船窓をあけるように依頼され、数回いわれてはじめてこれを実行したという事実である。

凡そ労働者は勤務を終えた後は自由なる人格者として、たとい使用者と雖もこれを尊重する義務がある。勤務時間外にあつても、使用者の命令に服して労務を提供すべしとすることは、個人の尊厳、法の下の平等、奴隷的拘束からの自由を規定した前記憲法の各条項に反するものである。

原判決が勤務時間外に於けるデッキーの命令に迅速に従わなかつたことが相当と認め難いと判断し、これを解約申入が権利濫用であるとする上告人の主張を排斥する重要な理由としていることは憲法違反でありその判断が判決に影響を及ぼしていることは明かであるから原判決は破棄を免れない。

第六点原判決には理由不備の違法がある。

上告人が本件雇止及解雇は労働組合法第七条第一号に違反する不当労働行為であると主張してその判断を求めていることは原判決の採用する第一審判決の事実摘示によつて明かである。

しかるに原判決はその理由の項に於て、右主張には全然判断を加えることなく、上告人の請求を棄却した。これは民訴第三九条第六号の判決に理由を附せない違法があるものであつて、原判決は破棄を免れない。

以上

答弁書

答弁の趣旨

本件上告を棄却する

上告費用は上告人の負担とする。

との判決を求める。

答弁の理由

原審判決の判断は正当であつて、上告人の論旨はいづれも理由がない。以下上告人の論旨に対する被上告人の見解を述べる。

第一点上告人は、乙第三号証の書面が被上告人から上告人に交付されたことをもつて、船員法第四二条にいう雇入契約解除の申入と解した原判決を批難して、(1) 右乙第三号証の書面は、「予備員プール(出勤事務所)」に宛てた「日本人船員の配当」と題する書面であつて、上告人に宛てたものでないから、たまたま同書面が上告人に交付されたからといつて、上告人に対する雇入契約解除の申入とはならない。(2) また、右書面は雇入契約解除の効力発生日を、同書面交付の日である昭和二九年九月二〇日としておるものであるから、これをもつて雇入契約解除の申入とみることは無理である。というのである。

(1)  船員法第四二条が雇入契約解除の申入を書面でなすことを要求しているのは、この申入のあつた事実を明確にして後日この事に関する無益な紛争が起ることを防止しようとするに在る。従つて、雇入契約解除の意思表示自体が書面でなされることを要求しているものではなくて、雇入契約解除の意思表示がなされた事が書面自体で明らかにされていることを要求しているに止る。なんとなれば、もし被上告人の如く解するのでなければ、法は雇入契約解除申入に関する書面について、その要式を規定するの注意を怠るべきものではないと考えるからである。

上告人に対して乙第三号証の「日本人船員の配当」と題する書面が交付されたものであることは原審の適法に認定するところである。しかして右書面の宛先は「予備員プール」とはなつているが、これと同じ物は三通作成せられ、そのうちの一部が雇入契約解除の意思表示を明確ならしめる目的で当該船員に交付されるものとして、上告人に交付されたものであることは、原審における証人針尾徳見の証言によつて明らかである。そうすれば本書面の宛先が上告人になつていないということを理由に、船員法第四二条にいう雇入契約解除申入の書面としての効力を有しないとする上告人の主張は理由がないことは明らかである。

(2)  船員法第四二条が雇入契約解除の申入の効力発生時期を、右申入より二四時間以上経過したときと定めるのは、船員保護の立場からである。そもそも解雇の予告期間という制度は、労働者に次の職を探す余裕を与えることを目的とするものであるから、陸上に勤務する労働者にとつては予告期間は長い程有利であるが(民法第六二七条は予告期間を二週間と定め、また労働基準法第二〇条はこれを少くとも三〇日前になすべきものと定めている)、海上にある船舶に乗り組んでいる船員にとつては、できるだけ早く上陸することが次の職を探すために必要である。そこで船員法はその第四二条で、下船する船員の都合を考慮して二四時間の予告期間を保障し、それ以上の予告期間は明示すべきものとして契約終了時期の不明確からくる労働者の不利益を除去するとともに、その第四六条において一月分の雇止手当を船舶所有者に支払わせることにしているのである。従つて雇入契約解除の申入についての予告期間が、二四時間を下まわる場合には、船員法第三一条によつて二四時間に延長されるが、反対に予告期間の明示がないときは、船員の利益のために、二四時間の経過をもつて雇入契約は終了するものと解すべきである。これを要するに船員法第四二条にいう予告期間の明示なるものは、雇入契約解除の申入が有効であるがための効力要件ではないと解するのである。

よつて問題はむしろ船員法第四〇条にもとずく即時雇入契約を解除する旨の意思表示が、同法第四二条にもとずく雇入契約解除の申入として有効であると解釈することが出来るか否かにある。船舶所有者が船員に対して雇入契約を解除する旨の意思表示をする目的は、当該船員を特定の船舶から下船せしめることにある。従つて、船舶所有者に、当該船員について即時解除の要件である「その責に帰すべき事由」があると判断したことに誤りがあつた場合には、進んで一定の予告期間の経過による契約の消滅は意欲するものではないとの意思が明示されていない以上、右船舶所有者の雇入契約を即時解除する旨の意思表示には、雇入契約解除の申入を含んでいるものと解釈すべきである。

このことは判例も是認するところであつて、船員法第四〇条と第四二条の関係と同様の関係にある労働基準法第二〇条第一項本文とその但書との関係について最高裁判所第二小法廷判決(昭和三〇年(オ)第九三号、同三五年三月一一日判決、民集一四巻三号四〇三頁)は次の如く判示している。

「使用者が労働基準法二〇条所定の予告期間をおかず、または予告手当の支給をしないで労働者に解雇の通知をした場合、その通知は即時解雇としては効力を生じないが、使用者が即時解雇を固執する趣旨でない限り、通知後同条所定の三〇日の期間を経過するか、または通知の後に同条所定の予告手当の支払をしたときは、そのいずれかのときから解雇の効力を生ずるものと解すべきであつて、本件解雇の通知は三〇日の期間経過と共に解雇の効力を生じたものとする原判決の判断は正当である。」と。

第二点上告人は船員法第四二条にいう雇入契約解除の申入が有効であるがためには、同法第四六条に規定する雇止手当を支払うこと、さらには同法第四七条に規定する送還をなすか、これに代る送還費用を同法第四八条によつて支給することを要するという。しかし法はこれらの諸行為が雇入契約解除の申入と同時になさるべきものであるとは何等規定しておらない。船員に対する雇止手当、送還費用に相当する一般労働者の予告手当について、これが支払がなくても解雇の意思表示が無効となるのでないことについては、前掲最高裁判所判決の判示するところでもある。

第三点上告人は上告人に対する雇入契約解除の申入並びに雇用契約解除の申入はともに権利の濫用であつて無効であるという。

解雇権の行使が民法第一条に規定する信義誠実の原則に従つてなさるべきことは被上告人も否定するものではない。使用者にとつて、ある労働者を解雇する何らの必要もないのに、ただ同人を困らせるために解雇するということは許さるべきではないが、使用者が事業の能率的運営のために当該労働者が寄与しないと考えてこれを解雇した場合には、これを目して解雇権の濫用ということはできない。この場合当該労働者が与えらた職務を遂行するに不十分であつたというような事実が存することは必ずしも必要ではないのであつて、当該労働者が上司あるいは同僚との折合が悪くために事業場の規律をみだす虞があると認められる場合であつても解雇について正当な事由を与えるものである。

いま、この点について、原審判決は上告人について成程度指揮権を有する米軍人ジェームス・デッキーとの間の折合が良くなかつたこと、そのために船内の規律がみだされる虞があつたことを証拠により認定している。船舶内における規律は陸上の事業場内におけるよりも重要視されるものであることは、船舶が海上にあつて、たえず自然の脅威にさらされているということから敢えて贄言を要しないであろう。従つて原判決が右上告人と米軍人ジェームス・デッキーとの間の不調和をもつて、上告人に対する雇入契約解除の申入および雇用契約解除の申入について正当な事由を与えるものとしたのは当然でなければならない。

第四点上告人は、同人と米軍人ジェームス・デッキーとの間の不調和を原審が認定したことが証拠にもとずかない瑕疵があるという。

しかし原判決が挙示している証拠によつて右の事実を認定するに何等の困難あるを見ない。また右挙示の証拠によつて前記認定に到達した具体的理由まで逐一説明することを要するものではないから、ここに上告人の言うが如き理由不備の違法もない。

第五点上告人は、原判決が上告人と米軍人ジェームス・デッキーとの間の調和を欠いていたことの一徴候として、右両者間におこつた船窓の開披をめぐる紛争を認定したことを批難して、そもそも右ジェームス・デッキーの上告人に対する船窓を開けよという命令が違法なのであるから、かかる命令を拒否した上告人の態度を解雇理由の一つにすることが憲法違反であるというのである。

しかし原判決は、その説示するところによつても明らかであるように、唯右の事実からだけで上告人に解雇せられる相当の理由があつたとしている訳ではないのである。上告人自身の供述によつて、同人とジェームス・デッキーの間が調和を欠いていることを認定し、その一例として前記事実に言及しているに止る。従つて、上告人のこの点に関する主張は理由がない。

第六点上告人は同人に対する雇入契約解除の申入および雇用契約解除の申入がともに不当労働行為であつて無効であると主張したのに対して原判決は何等判断を示していない違法があるという。

しかし原判決は上告人に対する雇入契約解除の申入も、雇用契約解除の申入れも、ともに正当な事由にもとずくもので有効であると判示しているのであるから、このことは当然に不当労働行為もないことを前提としているのである。従つて上告人の本主張も理由ないこと明白である。(昭和三五年九月二六日付)

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